コスト違いの分岐点は「WMXの機能のみでモーションコントロール制御が満足できるかどうか」になります。実装する必要がWMXのAPIで満足するのであればランタイムライセンスのみで運用できます。逆にリアルタイム性が確保できないときは、追加投資でRTXのコード開発が必要となります。
RTXのSDKを導入すると、装置リリース後のランニングコストが高くなります。WMXのバージョンアップのことも考慮し、費用面の検討を行うべきです。
WMXランタイムライセンス
WMXのexeやWMX3Console、WOSを実行するために必要なライセンスになります。
WMX3 EtherCAT8軸版 PC1台分 約20万弱(詳細はメーカに問い合わせてください)
ライセンス認証の種類は2つです。
組み込み版ライセンスは、HDD固有のIDに紐づけを行ってアクティベーションを行います。PC故障で交換が必要になった時にメーカーに更新依頼が必要です。
ドングル版ライセンスは、別途ドングル代が必要ですが別のPCに移行が簡単です。この方法をお勧めします。
WMX開発ライセンス
コンパイルにライセンスは必要ありません。正しくexeの生成が出来ます。 Visual Studioでデバックする時には「WMXランタイムライセンス」が必要となります。
RTXランタイムライセンス
WMXランタイムライセンスに含まれております。追加費用はありません。※WMXをインストールすると裏でRTXが動くようになります。
RTX開発ライセンス(SDK)
リアルタイムで動作するコードのコンパイルに必要なライセンスです。RTXのメジャーバージョンごとにSDKのライセンスが必要となります。 メーカの年間サポート契約でバージョンアップが無料で行えます。
組み込みPCが廃盤になり、CPUが変わるとRTXのバージョンアップが必要になる可能性があります。
ライセンス選択のポイント:どこで費用が変わるか
コスト面での分岐点は「WMXのAPIだけで制御要件を満たせるか」です。WMX標準のAPIで位置決め・I/O制御・補間動作がすべて賄えるなら、ランタイムライセンスだけで運用できます。
- EtherCAT通信周期を0.5ms以下に設定したい(高速リアルタイム制御)
一方で以下のようなケースではRTX SDKが必要になります。
- Windowsスレッドでは間に合わない処理をリアルタイムで実行したい
- 独自のリアルタイムタスクをC++で書きたい
RTX SDKを導入すると開発費用に加え、メジャーバージョンアップのたびにSDKライセンスの更新費用が発生します。装置のライフサイクル全体でのランニングコストを考慮することが重要です。
費用の目安(参考)
正確な金額はモベンシス株式会社またはその代理店にお問い合わせください。あくまで目安として参考にしてください。
- WMXランタイムライセンス(EtherCAT 8軸版):PC1台あたり20万円弱
- ドングル代:別途必要(ドングル版の場合)(数万)
- RTX開発ライセンス(SDK):メジャーバージョンごとに必要
- 年間サポート契約:バージョンアップを無料で受けたい場合に加入
よくある失敗パターン
組み込み版ライセンスでPCが故障したとき
組み込み版ライセンスはHDD固有のIDに紐づいています。PCが故障して交換が必要になった場合、メーカーへの更新依頼が必要です。納期に余裕がない装置では特に注意が必要です。PC移行の柔軟性を求める場合はドングル版を検討してください。
CPUが変わるとRTXのバージョンアップが必要になることがある
組み込みPCが製造終了し、後継機のCPUが変わった場合、新しいCPUに対応したRTXへのバージョンアップが必要になることがあります。このタイミングでSDKのライセンス更新費用が発生する可能性があります。長期運用する装置では、CPUロードマップも含めて検討しておきましょう。
おわりに
WMXのライセンス体系は最初は複雑に見えますが、「リアルタイム制御が必要かどうか」を軸に考えると整理しやすくなります。導入前にこの記事を参考に費用を試算し、予算計画に組み込んでおきましょう。


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